対ヴォートソロ要塞用決戦魔法≪メガリス≫

 ここでは城塞都市バークラニーツを壊滅した大規模破壊魔法の説明を行います。
 真言魔術の最大攻撃魔法≪メテオ・ストライク≫を発展改良させたのが、この≪メガリス≫です。
 ≪メテオ・ストライク≫は隕石を地上へと落下させ、決定的な破壊をもたらす魔法ですが、この≪メガリス≫は≪メテオ・ストライク≫よりも小型の隕石を複数落下させることにより、より広範囲に破壊をもたらすことができます。
 隕石雨を降らせる魔法と言い換えてもいいでしょう。
 しかし、この魔法の行使には≪メテオ・ストライク≫以上の「長時間におよぶ儀式」や「大量のマナ」等が必要となっています。

≪メガリス≫のデータ

Lv15【メガリス】 消費MP120
系統:深智魔法 対象:半径1.5km/すべて
射程/形状:15km/起点指定 時間:一瞬
抵抗:半減 属性:衝撃
概要:威力100ダメージを3回。3時間の詠唱が必要。建造物破壊。
効果:空から隕石群を落し、その衝撃で対象に「威力100+魔力」点の魔法ダメージを3回与えます。
 また、この魔法の範囲内にある建造物・構造物は破壊され、その内部にいるキャラクターにもダメージが適用されます。
 この魔法を発動するには、魔法の制御を支援する『エルジアの杖』と『ハミルトンの仮面』を装備した状態で3時間の詠唱を必要とし、魔法の発動時には術者と対象の両方が、空が見える場所にいなければ行使できません。
 また、この魔法は詠唱を終えると、術者が主動作で『メガリスの発動』を宣言するまで『待機状態』となります。MPの消費は、この『メガリスの発動』宣言の時に行ないます。
 この待機状態中、術者は魔法の維持に集中する必要があるため、主動作や副動作を行なうことはできません。移動も制限移動に限られます。
 術者が3時間の詠唱中や待機状態中に何らかのダメージを負うと、魔法はキャンセルされます。その際、1dを振り、1~3の出目が出た場合は魔力の制御に失敗したとして、魔法を行使した時と同様にMPを消費します。出目が4~6だった場合は、単に魔法の行使がキャンセルされただけとなり、MPの消費は起こりません。


≪メガリス≫を巡る物語


≪メガリス≫の開発

 百年戦争の開戦と共に、人族と蛮族の両陣営は多くの豪傑を失ってしまいました。
(むしろ、そのせいで百年もの間、戦い続けなければならなくなったと言えます。)
 そのため、お互いに幾度と無く本拠地に攻め込むチャンスがありながら、あと一歩のところで戦争に終止符を打てないという“決定力不足”に悩まされていました。
 その決定力不足を解消するために、バークラニーツが極秘裏に研究を始めたのが戦略級の破壊魔法です。
 開発は百年戦争初期の頃から開始され、様々な試作魔法が生み出されましたが実用化までには至らず、その完成には、ひとりの天才の登場を待たなければなりませんでした。

“賢王”と“天才”の台頭

 百年戦争勃発以降、もっとも長く王位についていたのが先代リータス18世です。
 リータス18世は国力の回復を最優先にし、蛮族軍に対して攻撃を行なうことは稀でした。
 そのため、荒み切っていたインフラが整備され、長引く戦乱で疲弊していた一般兵や市民から好評を得ていましたが、戦うことで発言力を維持してきた一部の貴族と騎士たちからは不評を買うことになります。
 特に、かねてから国民をも総動員して蛮族軍へ総攻撃を仕掛けることを主張していた強硬派からは猛反発を受け、バークラニーツは外からは蛮族軍の侵攻。内からは権力闘争に晒される複雑な戦いの舞台へと移り変わっていきます。

 一方、リータス18世が王位に着いた頃、王宮魔術師に着任したのが“天才”と呼ばれた魔術師 ルバーニン・H・ローチカチです。
 彼は多くの王宮魔術師を輩出してきた名門貴族ローチカチ家の若き当主で、リータス18世とほぼ同年代ということもあり、以前からリータス18世とは親しい間柄でした。
 ルバーニンは顕示欲の強く、王宮魔術師になった後も嬉々として蛮族軍の前に立ち塞がっては広範囲魔法で薙ぎ払い、自らが最強の魔術師であると公言しています。

 リータス18世はその政治手腕から“賢王”と呼ばれ、ルバーニンはその実力から“天才”と呼ばれ、お互いに協力し合いながら、蛮族軍の脅威から城塞都市を守り抜いていました。

 そんな二人の関係が変わったのが、永らく魔術師ギルドが研究開発を行なっていた戦略級破壊魔法である≪メガリス≫の完成でした。
 ≪メガリス≫を完成させたルバーニンは、強硬派を抱き込んで蛮族軍との決戦を主張し始めたのです。


悪化していく権力闘争

 蛮族軍との徹底抗戦を望む強硬派は、以前からリータス18世の発言力の低下を目論んで様々な策を巡らせたものの、智謀策謀に勝るリータス18世は、常にその一歩先に回り込む形で強硬派を押さえ込んでいました。
 これは強硬派も、基本的には「城塞都市を守るためには、全員が一丸となる必要がある」という信念があったため、自分たちの我を張ることよりも周囲の団結維持を優先させて敢えて泥を被ってきた側面もあります。
 しかし、この状況は、ルバーニンが決戦を主張し、強硬派を抱き込み始めたことから変化し始めました。
 自らを最強と名乗り、≪メガリス≫という大きな力を手に入れたルバーニンは、国を割ることすら厭わなかったからです。
 事態の悪化を恐れたリータス18世は、軍備の拡充計画を示すなど、強硬派とルバーニンに対して歩み寄る姿勢を見せていましたが、その頃には権力そのもののの奪取を目論むようになったルバーニンが強硬派を煽り立て、権力闘争は百年戦争と同じく泥沼化していったのです。


闇に飲まれた王子 シュゼイナル・ロバノフ・バークラニーツ

 この権力争いに巻き込まれた双子の王子と王女がいました。
 双子の名はシュゼイナル王子とナスターシャ姫といい、二人とも武芸よりも学問が好きな聡明な子たちでした。
 特にシュゼイナル王子は魔法の素質が素晴らしく、学び始めてすぐに導師クラスの魔法を自在に操るほどだったと言われています。
 そのため、ルバーニンが「次世代の≪メガリス≫の使い手」として直接指導を行うようになり、周囲の魔術師たちからは“ルバーニンの後継者”と呼ばれるようになりました。

影に沈んだ姫 ナスターシャ・ロバノフ・バークラニーツ

 一方、ナスターシャ姫は、どの見習い生よりも早く魔術の理論を理解したものの、マナを力へと導く能力が全くありませんでした。
 魔術師ギルドでは「王子と王女は双子であったため、本来なら二人に分け与えられる魔法の素質が、王子に宿ってしまったのではないか?」と推論しています。
 しかし、ナスターシャ姫は魔法こそ操ることができないものの、その学習能力やそれを実践へと導く応用力がずば抜けており、ルータス18世の書斎で書物を読み耽っている姿がよく見かけられていました。

連続暗殺事件

 そんな二人が12歳の頃、バークラニーツの貴族や騎士団幹部の家族が、何者かに次々と暗殺されるという事件が起こります。
 当初はそれが蛮族軍から送り込まれた刺客と考えられたため、いよいよ蛮族軍への総攻撃も止む無しという気運が高まります。

 ルータス18世は「暗殺を食い止める方が優先」として決戦を拒んでいましたが、シュゼイナル王子とナスターシャ姫が護衛もろとも殺されるという事態に陥ります。
 王族を。それも幼くも才能溢れた二人の王子と王女を失ったバークラニーツは、いよいよ決戦への機運が最高潮に達することになりました。
 それでも決戦の決断を下さないルータス18世を様々な人が「臆病者」「冷血漢」と呼び、クーデターまで計画されたと伝えられています。


真相の発覚

 決戦も止む無しという機運が高まる中、ルータス18世が信頼を失うのも恐れずにそれを押しとどめたのには理由がありました。
 実はルータス18世が秘密裡に雇った冒険者たちにより、ナスターシャ姫だけは間一髪のところで助けられていたのです。
 そして、その冒険者たちは暗殺者が蛮族ではなく人族からの刺客であることを掴んでいました。
 このため、ルータス18世は姫が再び命の危険に晒されないためにも、姫の生存を極一部の信頼できる者にしか明かさず、姫をルーゲニー村へと匿う一方で、姫を助けた冒険者たちに連続暗殺事件の黒幕を探るように依頼していたのです。

 ほどなくして、冒険者たちが一連の事件はルバーニンにそそのかされた強硬派の仕業である証拠を掴みます。
 これにより、ルータス18世は強硬派の地位を剥奪した上で城の地下牢へと幽閉し、主犯格であったルバーニンを斬首刑に処して、この権力争いを終結させることができました。

 ……しかし、目の前で双子の兄を殺されたナスターシャ姫は、そのショックにより失声症に陥ったため、ルータス18世は彼女を死んだことにしたままルーゲニー村に定住させ、その存在をそのまま隠し通すことに決めたのです。


姫のその後

 ナスターシャ姫は名前をナーシャと変え、村長の遠縁にあたる姪としてルーゲニー村で新しい生活を始めます。
 また、表向きはナーシャの従兄弟ということで、若干名の騎士たちが身分を隠して村に常駐するようになりました。
 突然現れた村長の姪と従兄弟たちにルーゲニー村の人々は驚きましたが、元々この村はルータス18世が用意した「王族の隠れ里」としての側面を持っていたため、村人たちは彼女たちの素性について深く追求することはなく、むしろ積極的に村に馴染むように働きかけると共に、その存在を決して村の外へ漏らさないようにしました。

 また、ナスターシャ姫自身も暖かく迎えてくれた村人たちのおかげで失声症から立ち直ることができ、14歳になる頃にはすっかり『ルーゲニー村のナーシャ』として、質素ではあるものの明るく笑う日々を送るようになりました。



 …しかし、バークラニーツ陥落により、彼女はナーシャとしての人生を捨て、王族ナスターシャ・ロバノフ・バークラニーツとして生きる覚悟を決めます。

  • 最終更新:2013-01-07 01:29:21

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